みなさんこんにちは!
しらとりキャラバン、久しぶりの更新になります。
第7回目の更新は昭和9年頃から続く老舗、みなさんご存知の羽曳野市3ワイナリーの1つ、飛鳥ワイン株式会社さんにお邪魔しました!
今回は羽曳野市観光協会情報発信部会会員の谷水さんに取材をお手伝いして頂きました。
この時期はぶどうの手入れに忙しいということで、今回は社長の仲村裕三さんに代わって奥様にお話をお伺いしました。
飛鳥ワインは元はぶどう農家で、昭和9年に室戸台風によって傷んで市場に出せなくなったぶどうを何とか商品にできないか、とワイン作りを商売にしたのが始まりで、戦争の際に一度酒造の免許を返納しているそうですが、先代がワイン作りのために免許を取り直し、以降続いているそうです。
昔は状態が悪く売れない生食用のぶどう、デラウエア100%でワインを作っていたことから、品質的には低いものが多かったそうですが、現在の飛鳥ワインでは除草剤や農薬をなるべく使わずにワイン用のぶどうやデラウエアでもワインに向くようにホルモン処理をしていないものを特別に育成し、上質なワインを作られています。
そのこだわりは、全国環境保全型農業経営コンクールにて奨励賞を受賞するほど。
また、2007年に大阪エコ農産物認証制度の認証を受け、認証を受けたぶどうのみを使用し、加工してできた~飛鳥の秀逸畑シリーズ~“早摘みのデラウェア”は大阪エコ農産物観光品第一号として認定されています。
飛鳥ワインは店舗の向かいに工場兼事務所があります。
まずは、工場内を見せていただきました。
こちらはぶどうを絞る機械です。
上から圧力をかけることで、隙間から搾り汁が滲み出してくる仕組みです。
昔は右側の木製のものを使っていたそうですが、現在はこのステンレスの機械と、もう一つある自動式の大きいタイプの絞り器を使っているそうです。
絞られたぶどうはこちらの樽やタンクで発酵させます。
こちらは瓶詰め機
まずは瓶の洗浄を行い、隣の装置でワインの充填、次にコルク打ち、瓶によっては王冠やスクリューキャップをかぶせ、検品を行ってラベルを添付する機械をとおり完成します。
こちらは瓶の中で二次発酵させるスパークリングワイン。
瓶の中で二次発酵させることで、後から炭酸を添加するスパークリングワインよりもガス圧が強く、きめの細かい泡が長く抜けないワインになるのです。
このように逆さまにしておくことで、澱がコルク側に溜まるそうです。
瓶内の圧力が一目でわかります!
コルク側に澱が落ち切ったら、いったんワインを冷やして澱の溜まった部分だけを専用の機械で氷結させ、コルクを飛ばして澱ごと取り除きます。
この作業で少し減った内容物を補充して、ガス圧を使ってしっかり新しいコルクで栓をして、針金で固定して作業は終了。
この時、ガス圧を使ってコルクを押し込むため、コルクが変形します。
そう、スパークリングワインによくみられるマッシュルーム型のコルクは、専用のコルクがあるのではなく加工の過程でこの形になるのです。
これが瓶内二次発酵のトラディッショナルナな製法のスパークリングワイン。
ガスを添加するガス充填法のものよりもおいしいけれど、製造に手間も時間もかかるため、需要に追い付かないんだそう。
瓶内二次発酵のスパークリングに限らず、国内ぶどう100%のワインも現在は需要が増えており生産・流通が追い付かないため、これらは大切に少しずつ流通させているそうです。
その代わりに一升瓶で安価に提供できる輸入ワインなどをブレンドしたテーブルワインのシリーズなども作っておられます。
ラベルにも細かい決まりがあり、自社農園で接ぎ木をして苗木を育成したぶどうや羽曳野市飛鳥地域で作ったぶどう100%には「飛鳥」のラベル、羽曳野市のぶどうは使ってないが、飛鳥ワインの工場で作ったワインは「河内産ワイン」のラベルを貼って地場産ワインとして販売しているのだとか。
生食用のブドウの苗木の方が利益が上がるため、ワイン用の苗木は苗木屋さんからの流通が少なく、ぶどうからこだわってワインを作るワイナリー間では今ぶどうの苗は取り合いになっているのだそうです。
ただ、飛鳥ワインさんは自社で苗木の接ぎ木からおこなっておられるので、自社の生産分は確保しておられるのだそう。
飛鳥ワインでは、ぶどうの苗は垣根栽培で、一つの苗からは10房しか収穫しないと決めてぶどうを育成しており、周辺の遊休農地を借りて年々ぶどうの生産量を増加させています。
もちろん必要な人手はその分増えますが、その人ではボランティアの手伝いやこれからワイナリーを開きたいと考えている若者やワイン用ブドウの育成に関心のある若者などの研修を受け入れて人手を確保しておられるそうです。
特にこの時期の日中は雑草の処理やぶどうの手入れに追われて一日中ぶどう園にかかりきりになるとか。
農園には社長お手製のビザ窯があり、農園内でワインとピザを楽しめるイベントなども開催されています。
店舗の方には飛鳥ワインさんの商品が勢ぞろい。
店内には見学しに来た人へ配っておられる奥様手書きのワイナリー周辺地図が飾られています。
今季一番のおすすめはこちら。
飛鳥ワインで育成している16種類のぶどうをブレンドした「飛鳥スパークリングヴィニフェラ16」です。
その年のぶどうの育成状況によってぶどうの配合が変わるため、毎年味や色味が違うそうです。
苗木からのぶどう育成から収穫、ワインづくりまでを体験できる年4回の講座とワインが楽しめる「飛鳥ワインクラブ」の会員が着用する飛鳥ワインTシャツも買えます。
以上、今回はこだわりたっぷりで上質なワインを製造しておられる「飛鳥ワイン株式会社」さんのご紹介でした。